おどりびよりロゴ

 

コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#55

第80話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#55

2020/11/18

リバース・ターンの足


リバース系の話に入りますが、左回転するフィガーでは特別な注意を払うようにしましょう。タンゴのウォークは左回転を起こすことから、タンゴの概念として、基本的に左へ回転していく踊りという事が分かります。したがって、左回転が苦手な人には、タンゴはかなり深刻なことになるでしょう。

また、非常に重要なこととして、ちょっとしたテクニックが鍵になることがあります。リバース・ターンの2歩目のことですが、これはフォー・ステップやファイブ・ステップの2歩目と同じく、女性のステップはホール・フットで行われます。ホール・フットにするという事は、即ち、その足で進んで行くことはないという意味です。ところが、女性が積極的に出て行こうとする余りに前進のステップをしてしまうものですから、男性とのポジションがずれてしまうことになります。しかし、それは当然の結末なのです。



スピードの変化のつけ方


主なタンゴの特徴をもう一つ。それは極端なスピードの変化です。ゆっくりとしたスピード、中くらいのスピード、速いスピード、あるいは突然の停止と言う風に、いろいろありますが、そうしたスピードの変化をつけるにはどうすれば良いのでしょう? 答えは意外な所にあります。テンション(緊張)のリリース(放出)によって行うのです。

まず、ダンサーの体の中には、すでにある程度のボディ・テンションというものが、筋肉の必要最低限のトーン(張り)から作り出されています。そして、その上に加えられた大きなテンションが突然として放出されると、それがスピードとなって現われます。この場合、直前に加えられたテンションの分だけ放出する所がミソです。

弓を例に説明しましょう。弓をいっぱいに引けば引くほど、それ(テンション)が解放されたときの矢のスピードは速いものになります。弓を少ししか引かなければ、矢を遠くに飛ばすことはできませんし、ゆっくり解き放つと、矢は飛ぶことさえできないでしょう。

では、その更なるテンションを得るにはどうすれば良いのでしょう? ここで私たちの呼吸を観察してみると、息を吸うと胴体の筋肉は固くなり、その緊張は少しの間保たれています。その緊張を一気に解放すると、つまり、息を吐くと、胴体のテンションは元のレベルに戻ります。このタイミングで、先に述べたプロムナード・ポジションへのリードを行うと、スピードあるプロムナード・ポジションができ上がるのです。そしてそれを行うには、しなやかで順応性のある筋肉が必要とされますが、そうした筋肉を持っていると、筋肉のトーンのシャープな変化を積極的に使いこなすことができます。もし、筋肉にテンションをかけすぎると、かえって、スピードの変化に対応できなくなります。



“鞭のようにしなやかに!”






(第80話おわり)