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コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#51

第76話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#51

2020/10/21

基本の形


男女の組む位置は、男性の右脚部の前に女性の右脚部が来るように、15cm程ずらして組みます。また、ベーシック・ポジションの形として、男性も女性も、両足を揃えた所から、足の半分の長さ程、右足を後ろにずらします。





女性と組むとき、ビルは人と違うやり方をしていました。彼は、まず左足に立ち、その形のまま女性に自分の左手を取らせました。次に、お互いのボディが寄った所で、自分の右ヒップを女性の恥骨に向けてコンタクトし、それから右足をボディの下に置いたのでした。左足に立った所から始めますから、ビルは右足を前に運んで行って置くわけですが、最終的な組んだ形を見てみると、前述したと全く同じ、すなわち、左足より足半分、右足が後ろになっているのです。
 
このビルのホールドの仕方の利点はどこにあるのでしょう? 彼の方法では、女性には女性のバランスの中で足の上に立っていてもらい、女性を自分の方に引っ張って来るわけではありませんから、女性と組むには、自分のボディを積極的に女性の方に持って行かなくてはなりません。そうすると、男性は前方にバランスが取れた形になっています。一般に見かける方法では、男性が女性を引き込みながら右足を左足後ろに置きます。しかし、この方法では無意識のうちに女性から離れようとする動きが起こる可能性があり、そうなると、タンゴで求められるコンパクトなホールドが、一層窮屈さを増すことになります。





男性の右手はスイング・ダンスの時よりも、女性の背中に少し深く回り込んで行きます。女性は左前腕を男性の右上腕の下に置きます。お互いの肘をはめ込むかどうかは、相手との腕の長さにも関係することであり、必ずすべきことではありません。





(第76話おわり)