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コラムその方がうまくなれるかも…。

第10話その方がうまくなれるかも…。

2019/07/15

どこに行っても「プロみたいに踊りたい!」みたいな顔で必死に踊っている人たちを見かけます。それが悪いとは言いませんが、「プロみたく…」と思わないのが早く目的地に行ける気がしています。

それでも、プロみたいに綺麗に、プロみたいに難しいステップをと思うなら、
「彼らと同じ努力と経験を積まなくては、なれないんじゃない?」
というのが率直な意見です。

プロのようなハードな練習も練習時間も持ち合わせておらず、しかも、ダンスを始めた年齢が30だ、40だ、50だ、60だ、70だという人が、プロの見た目を真似してできる、そんな甘い世界はどこにもありませんし、第一、そんな考え、プロに対して失礼です。



ティモシー・ホーソン(*)が現役だったころ、あるレクチャーで、
「28年間練習していますが、下半身の練習に10年かけたとすると、上半身の練習に何年かけていると思いますか?」
と聴衆に問いかけをしました。

周りの人たちが「15年? 20年?」とモゴモゴ答えると、
「上半身には1年です」。

10対1ですよ!

(*)写真はティモシー・ホーソン&ジョアン・ボルトン
(Timothy Howson & Joanne Bolton)と私


「プロみたいに」と思い、変に大きなホールドを真似し、崩れながら踊っていても、ちっとも綺麗ではありません。所詮、トータル・バランスの取れていない「まがい物」ですから。

だから私たちはサークルで「プロを目指すな」と話しています。「プロみたいに踊らない!」と思ってみましょう。

レベルが遥かに違っても、自分のレベルに応じたホールドで、自分のレベルに応じた動きの大きさで踊れば、それで良いではありませんか。進歩するにつれ、大きさも伸びて行きますから大丈夫。

しかも、驚かないでください。

変に「プロみたいに!」と思っていたときより、ずっと、素晴らしい踊りになりますから!

だって、本物の自分の踊りなのですから、当然です。



(第10話おわり)