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コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#35

第60話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#35

2020/07/1

第5章 回って、回って!


この章の回転に関する説明は、間違いなく最も重要な説明の一つになるでしょう。カップルで踊っていると、殆どいつでも何らかの回転をしている訳ですから、回転運動に関する深い知識は不可欠なのです。

実際の回転は主としてボディの筋肉群を通して起こりますが、そこの筋肉群は腿の筋肉群とつながっています。また、ボディの筋肉群は上肢帯にも繋がっています。従って、ボディの内部で起こる回転は腿の筋肉の中に引き継がれると同時に、上肢帯にも伝わっていきますが、上肢帯には、実際に回転する部分はありません。このように回転は最小の運動で起こり、また、男性のセンターから女性のセンターに直接伝わって行きます。

回転において、右回転と左回転を同じように行なう事はできません。多くの場合、右回転は“ナチュラル・ターン”と呼ばれ、左回転は“リバース・ターン”と呼ばれています。ダンスにはLODと呼ばれる壁と平行に走る想像上の線があることと、男女が組むポジションの関係から、右回転は進行方向に対する自然な回転となります。



ナチュラル・ターンの仕方


右回転の場合、男性は女性に対して回転を始める前に適切なタイミングでそれを知らせなければなりません。その方法は、右回転フィガーの1歩目が始まる前に右回転を起こし始めることです。それから使用するフィガーの右回転に繋げて行きます。ですので男性は、これから踊ろうとするフィガーで、どれだけの回転量が必要かという事を完全に把握しておくことがとても重要で、その回転量を1歩毎に割振って行くのです。



“回転の調節をしなさい!”



リバース・ターンの仕方


左回転は、左カーブを描く中で行ないます。左回転は右回転とは違い、その前のステップから回転しようとするのは逆効果です。これには二人のポジションが関係しており、前のステップから回転しようとすると、女性が男性の前に動いて来てしまうからです。では、前のステップでは何もしないのでしょうか? いいえ。男性がすることは、前のステップでスタンディング・レッグの筋肉の緊張を解放することです。すると、女性は受け身になった男性を通り越し、左カーブの中に先に入って行くことができるのです。男性はサイド・リードを使って女性に着いて行き、フリー・サイドを通して1歩目の最後で回転が起こるようにします(後退する人は、フリー・サイドを後方へスイングします)。この通り越す瞬間のことを専門用語で“コントラリー・ボディ・ムーブメント(CBM)”と言います。

女性にとり左回転で特に難しいのは、自分の右サイドが男性の方に入らないようにすることです。いつでも男性と並行にいる意識を持っていなくてはいけません。リバース系フィガーは複雑で難しい作りになっています。実際、“リバース(反対)” は“ナチュラル(自然)”の反対ですしね。ナチュラル系フィガーでは積極的に回転を起すのに対し、リバース系では回転が起きるのを待つ感じです。そのため、ナチュラル系を“アクティブ(積極的な)・ターン”、そしてリバース系“パッシブ(受身の)・ターン”ということができます。





(第60話おわり)