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コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#45

第70話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#45

2020/09/9

スロー・フォックストロットのヒント


スロー・フォックストロットについてのヒントは、第4章の中でライズ・アンド・フォールという形でたくさん書いていますので、そちらも再度読んでみてください。



タイミングについて


最初にスロー・フォックストロットの基本的なタイミングについてお話ししましょう。ベーシックのリズムは“QQS”なのです! 試しに、普通にホールドして“SQQ”と歩いてみると、非常に難しいと感じますが、今度は“QQS”で歩いてみると、この方がずっと楽に動けるのが分かります。それはスロー・カウントの所に入っていくときにボディ・スピードが落ちていくからです。理論的な話をすると、スロー・カウントの終わりから次のクイックにかけてスピードを増して行かなければなりませんから、スローのステップの前に加速しておいて、クイックにかけて減速するのは理に適いません。

第1Qは加速のステップで、スローの後の第1Qとして自然に行なわれます。実際にカップルが第1クイックを小節の1拍目に合わせて踊っているのを1960年代の映像の中で見る事ができます。ところが、今日のスロー・フォックストロットでは最初の2拍を“S”で踊るため、60年代のチャンピオンの踊り方を見て「音楽的に合っていない」と批評する人が沢山いますが、それは、勿論、正しくはありません。今の若い人達は、1小節の前半(最初の2拍)が“S”としか知らないからなのですが、アクセントが置かれるのは第1Qのステップだと分かると、以前の人たちの踊り方が容易に理解できることでしょう。

テキストに書かれたフェザー・ステップの説明を見ると、そこには歩数が4歩あります! しかも、4歩目のフットワークが“HT”ではなくて“H”になっていますが、それはどういうことか、そのことについてお話ししましょう。

まず、フェザー・ステップの男性の1歩目は右足前進から始まります。この足の上に体重が乗り切った時点で膝は伸びています。次に、早めのライズを起こし、回転が加わる中で加速が始まり、そのスピードが最も速くなるのは第1Qです。そこから、第2Qを通ってスイングが終わる所までボディ・スピードは徐々に落ちて行きながら、次のスロー・カウント前半に入って行きます。先ほど、「4歩目のフットワークが “H”になっている」と書きましたが、その理由がここにあります。つまり、ダンサーが次にリバース・ターンに入る時は、このフットワークは“H”から“HT”になり、足裏を転がしながら次の加速が始まるのです。

ワルツでは、ロアリングと加速が同時に起こります。ところが、このワルツの特徴がスロー・フォックストロットの中でおかしな形で使われ、スイングのイメージが歪められてスロー・フォックストロットの特徴であるロールス・ロイスのような動きが失われています。ワルツ同様に、ボディの片側を錨のように止めてスイングを行なう ― これが絶対に必要なことなのです。この原理はすべてのスイング・ダンスのスイング・アクションに適用されます。

この原理を守って踊ると、フェザー・ステップ ~ リバース・ターン ~ スリー・ステップは楽に踊れることでしょう。右サイドを固定して左サイドをスイングし、左サイドを固定して右サイドをスイングする。再び右サイドを固定して左サイドをスイングしたなら、最後に左サイドを固定して右サイドをスイング。これが秘訣です。



“ステップしたらスイングして、そのまま流れていけ!”



訳者のノート:
「フェザー・ステップが4歩」というのはISTDのテキスト(かつてのリバイズド・テクニック、現在のザ・ボールルーム・テクニック)を指しています。そのテキストでは、男性のフェザー・ステップは、①右足(HT)、②左足(T)、③右足(TH)、④左足(H)となっており、この4歩目は後続フィガーの1歩目と重なって書かれているため、フットワークは次にくるフィガーで変わります。次がリバース・ターンだと本文にあるように(HT)になり、次がスリー・ステップだと(H)になります。



(第70話おわり)