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コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#31

第56話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#31

2020/06/3

ライズ


基本的にライズには次の3種類があります。
①スイング・ライズ
②プレッシャー・ライズ
③ボディ・ライズ



①スイング・ライズ
通常のスイングによって自然に生み出されるライズ(例:ワルツのナチュラル・ターン、スロー・フォックストロットのフェザー・ステップ)。こうしたフィガーでは、正しいスイングの動きを通して、ライズがいつ起こるか、また、どの位の大きさのライズが起こるかも明確に分かります。ワルツのナチュラル・ターンをもう少し詳しく見て、ライズに関する幾つか技術的なことをクリアにしましょう。

ダンスのテキストには「1の終わりでライズを始める」などと書いてありますが、いったい、1の終わりとは何でしょう? テキストにはそうしたことが1歩1歩について書かれていますから、そうした手順をすべて理解しておく必要があります。また、一つのフィガーが技術的に何を指すのかも知っておきましょう。テキストにも書かれていますが、一つのフィガーの定義は、足が揃ったクローズド・ポジションから始まりクローズド・ポジションで終わる動きのことです。

クローズド・ポジションからナチュラル・ターンの1歩目が始まり、左足が再び右足の横に揃った時点が「1の終わり」で、そこからライズが始まります。この時の脚部の動きに関する技術的なことについては第3章で触れています。1歩目の終わりに両膝が緩むと、次に行なうべき事は「レベル0」の状態に戻ることですが、スタンディング・フットのヒールはまだフロアから離れていません。

一方、ボディは、二歩目の左足(親指のインサイド・エッジでフロアを捉えに行こうとしている)に向けての動きを開始しており、この左足に全体重が乗るとスイングは完了し、左足でのライズは両足が揃うまで継続します。これが「2と3でライズを継続」の意味です。

1歩目のヒールがフロアから早く離れてしまうと、ライズが早く起こるため、スイングの大きさが大幅に制限されてしまいます。スイングの曲線は短くなり、ワルツで求められるペンジュラム・スイングの流れが遮られてしまいます。




スロー・フォックストロットのフェザー・ステップでは、ステップ1の終わりで脚部は既に伸びていなければなりません。その時点で膝がまだ緩んだ状態だとすると、それは技術的には「1の終わりでライズを始める」になってしまいます。それとは異なり、フェザー・ステップにおけるライズは「1の終わりでライズ」なのです。この違いは大きく、当然、動きにも大きな違いが生じます。フェザー・ステップの男性3歩目右足はヒップからスイングして行きますが、この足が左足を通過する時、左足はボディを更に進行方向へと運んでいます。そして、体重が移ろうとするときの右足は「伸びて」います。






(第56話おわり)