おどりびよりロゴ

 

コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#49

第74話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#49

2020/10/7

クイックステップのヒント


3.トリッキーなステップ
このカテゴリーに分類されるのは、ペンジュラム・ステップ、ウッドペッカー、チャールストン等のような、リズミカルで巧妙な足技があるトリッキー(巧妙・いたずらっぽい)なステップです。

クイックステップでの優れた振り付けでは、こうした3つのカテゴリーに含まれるフィガーをうまく使いこなしています。その配分量はカップルの技量により人それぞれで、自分達に合ったものを使います。優れた振り付けとは、そうした個々の能力を取り入れたものが音楽の特性とうまく絡み合っているという意味です。しかし、何と言ってもクイックステップの最大の特長は軽やかなムーブメントにあります。そうした「軽やかさ」は脚部の筋肉がリラックスしていないと創り出されません。また、主にトウと足首を使って踊ります。トウと足首を駆使することで、ちょうど、ばねの上で踊っているかのような、殆ど音の立たない踊りに到達できるのです。



“クイックステップの踊りは、ぬいぐるみ人形の脚だ!”



ボクサーのモハメド・アリを思い浮かべると、クイックステップでは色々な所で彼の動きと共通するのが分かります。ボクサーというのは、足首と膝を使って動きを吸収することをしっかり学んでいるからです。スキップはとても良い練習方法で、できるだけ軽やかに、音を立てずにできるようになると、それは足首がうまく使えるようになった証拠です。言うまでもありませんが、ボクサーも同じ練習をしています。



“クイックステップはフレッド・アステアのスタイルだ!”



ビルは、このハリウッドの伝説的人物が踊った軽やかなタップダンスを好んで引き合いに出しました。タップで刻まれる音の一つひとつに注がれる重さを想像してみてください。それが音楽と巧みにマッチしているのです。

今日見るクイックステップで、音がしない踊りを見られたらラッキーです。うるさいといったらありません! そうならないためには、ボディを一つにまとめ、ベースを小さくして踊ることがとても大切で、そうすると、注意深くなり、素早いリアクションで踊れるようになります。そのための、お薦めする練習法があります。

ゴムバンドを用意します。それを両脚に巻いて、脚部を固定して踊る練習をします。ゴムバンドを巻いているので動きは窮屈になりますが、両脚が協調して動くようになる、最高の練習方法です。





(第74話おわり)