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2020/09/23
ヴィニーズ・ワルツの素晴らしい所は、他のダンス同様、やはり音楽と言えましょう。単に3/4拍子で1分間に60小節の曲と言うのではなく、本当の意味でのヴィニーズ・ワルツの曲を耳にすると、宙に舞い上がりたくなる衝動に駆られると思います。ヴィニーズ・ワルツはそうした、純粋な感情を表現する踊りなのです。もちろん、この踊りにも必要な技術的要素が入ってきます。まず、重心の位置はほんの少ししか低くなりません。これは音楽のスピードが速いためです。次に、ライズ・アンド・フォールも他のダンスとは異なり、ロアーは僅かしかしませんし、ライズもロアーから“レベル0”に戻って来る程度です。
ヴィニーズ・ワルツで難しいのは、後退から回転する所です。後退の1歩目、すなわち、女性の1歩目と男性の4歩目を置く位置は「後ろ少し横」になります。これは明らかに後退のステップです。もし横へのステップなら、「横少し後ろ」という書き方になります。この後退の足に体重が乗ったとき、ボディが後退の動きを継続していてはいけません! 実際には、これと全く反対のことが行われてしまっています。それをナチュラル・ターンの例で説明しましょう。
LODに背面して後退1歩目の左足に体重を乗せたなら、その左足を固定した所で、右足はポインティング・ステップを使います。この右足は左足と同じライン上にきて中央斜めにポイントし、ボディは中央に向けておきます。その時、左ヒップを少し低くすると正しいスウェイが作られます。そうすると横方向へのスイングができ、両足を揃えることができます。
“ヴィニーズ・ワルツはサイドに踊る!”
こうしたルールを女性が厳守すると、男性に道を開けることができますし、反対に、男性が後半で同じ事をすれば、女性に道を開けることができるのです。
次は前進の仕方です。前進のステップは3段階で考えます。
足の上 → 足の中 → 足から離れて行く、です。
このように行うことで、前進の3歩で、最大限に進むことができるでしょう。勿論この3段階の考え方は、他のスイング・ダンスにも応用できます。
次はリバース・ターンについてですが、リバース・ターン後半で、実に妙な省いた動きをする男性を見かけますが、5歩目はれっきとした横へのステップですから、横への動きをしてください。
左回転でコーナーを回る時、回転量は大きくなりますが、これはフレッカールの練習に最適です。どういう事かと言うと、コーナーを回る要領で徐々に円を小さくして行くと、フレッカールになるからです。このフレッカールという言葉はドイツ語のフレックから派生し、意味はスポット(その場)ですから、フレッカールはスポットで踊らなくてはなりません。フレッカールを踊るとき、各小節の1拍目で体重が乗り切りますが、2歩目はパート・ウェイトのみです。言うまでもありませんが、フレッカールにライズ・アンド・フォールはありません。
最後に音楽について少し触れておきましょう。ヴィニーズ・ワルツの殆どは8小節単位のメロディーで、2小節が1セットになっています。1小節目は上り調子のメロディーで2小節目は下り調子のメロディー。別の表現をすれば「問い」と「答え」のセットともいえます。ヴィニーズ・ワルツを上手く踊るには、音楽をボディの中に吸収し、ダンスを楽しむことです!