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コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#44

第69話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#44

2020/09/2

ワルツのヒント

 

フォックストロットからの応用


ワルツには、スロー・フォックストロットのフィガーから応用されているフィガーが入っていることも知っておきましょう。良い例として二つあります。ひとつはオープン・ナチュラル・ターンで、もう一つはランニング・ナチュラル・ウィーブです。両方とも、もともとの踊り方ではクローズド・ポジションからスタートしていました。

スロー・フォックストロットで踊る場合、初めの部分で女性は男性を通すためにヒール・ターンをします。こうしたヒール・ターンはスロー・フォックストロットの特色のひとつとなっている訳ですが、それがワルツで使われるとなると、ワルツの特色であるスイングを作り出さなくてはなりません。プロムナード・ポジションから始める場合は簡単です。ヒール・ターンをしないからです。しかし、最近の振り付けは、こうした簡単な基本のルールを無視しがちで、プロムナード・ポジションではなくクローズド・ポジションで始めたにも拘らず、ヒール・ターンをせず、ワルツのスイング・アクションだけに専念しているのです。その結果、力ずくの回転となり、常に雑な足運びになってしまいます ― 少なくとも、女性側はそうなります。

他のダンスからのフィガーを転用する場合には、元のフィガーの特徴を最大限に尊重しつつ、踊ろうとするダンスの特徴に変換していかなければなりません。



アウトサイド・スピンの秘訣


次の秘訣は、アウトサイド・スピンの足の使い方についてです。これを充分理解するには、まず、テキストに書かれている説明は、一つのアクションが終わった後の足のポジションだという事を知っておかなくてはなりません。つまり、足を置くときは、必ずしもその通りではないという事です。

オープン・ナチュラル・ターンの3歩目からアウトサイド・スピンに入る場合、男性はオープン・ナチュラル・ターンの3歩目右足の上でコントロールしながらヒールをおろし、次にアウトサイド・スピン1歩目をステップして左ヒールを下ろします。そのとき、右足の上に体重を下ろして行きながら回転し、その回転の間に、徐々に左足に体重を移します。そうした動きの中で、この一種のスイッチ・ムーブメントが行なわれます。

1歩目左足の回転が終わる時点で左足は右足より少し後ろにあり、次の右足は、右回転を継続しながら、小さく前方にステップします。この回転が継続していることを忘れないで下さい。右足のフットワークはHT(ヒール、トウ)で、僅かなライズが含まれています。また、この足はスピン・ターンの1歩目(ナチュラル・スピン・ターンの5歩目)と同じ動きですから、次の左足の置く場所は、ボディの下、僅かに横方向になります。

女性の踊り方を見てみましょう。オープン・ナチュラル・ターン3歩目で、男性のロアーに合わせて、左足の上にロアーします。当然次の右足は(その前の左足にロアーしているので)ヒールから出ます。フットワークはHT(ヒール、トウ)です。そして、必然的に右回転が継続する中でアウトサイド・スピンの2歩目左足を右足に閉じるようにステップします。左足はトウで回転していますから、次の右足は当然トウ・リードになります! トウで出てからヒールがフロアに下りていきます。

こうした作業は複雑に聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。是非、1歩1歩確認しながらやってみてください。



フォーラウェイ・リバース&スリップ・ピボットの秘訣


フォーラウェイ・リバース&スリップ・ピボットはとても人気がありますので、これについても秘訣を書いておきましょう。

フォーラウェイ・リバース&スリップ・ピボットではフットワークも良く間違われます。これを踊る際にとても重要な事は、男性は自分のウェイトをしっかりトウの方に持って行くことです。男性が2歩目に入る所をこんな風に想像してみてください ― 男性の右足トウの下にはコインがあります。そのコインを3歩目から4歩目のスリップ・ピボットまで引きずっていくのです。そうすれば、2歩目右足のヒールを下ろすばかりか、トウまで上げてしまうという、そうした広く行なわれている間違いを避けることができるでしょう!





三笠宮殿下との晩餐会で。
ビル&ボビーは日本でも非常に人気がありました。



(第69話おわり)