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コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#40

第65話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#40

2020/08/5

第7章 プロムナードとフォーラウェイ


ボールルーム・ダンスで最も美しい形のひとつにプロムナード・ポジションがあります。しかし同時に、最も難しい形の一つでもあります。

プロムナード・ポジションは二人が一緒に前進するために必要な形で、この形では二人のボディをできる限り平行に保つようにします。ここで大きな疑問が起きます。

「プロムナード・ポジションなのに平行?」と。



プロムナード・ポジションの作り方


その場でプロムナード・ポジションになってみましょう。この時のバランスは、お互いのスタンディング・フットの上にあります。即ち男性は右足、女性は左足の上です。その形で、フロアに対して足の親指でどんどんプレッシャーをかけて行きます。そうすると、ボディや上肢帯が下半身から分離されることなくプレッシャー・ライズが起こり、ボディの上にしっかり両肩が来て、その重さを感じることができます!



“両耳を汚さずに煙突から頭を突き出せ!”






こうすると、女性も自分のカーブしたポスチャーを保ちながらボディ・ライズをすることができます。このライズを継続する中で、男性は自分の右手の方へと自分のセンターを向けて行きます。この時、右手を一緒に回してはいけません!

骨盤も積極的に回そうとしないことが大切です。積極的に回そうとしないことによって、骨盤の所で適切なVの形を作ることができ、男女共に、内側の足で前進することが可能になるのです。

二枚の写真を比較してみましょう。二枚の写真には約35年の隔たりがありますが、プロムナードの基本に変化はありません。






ダンサーの能力の違いで、プロムナード・ポジションになるスピードも変わってきます ― ゆっくり、早く、徐々に、突然に、と。女性は男性のスピードに従ってヘッドを左から右に返しますが、ボビーは女性が本当にヘッドを返してしまうのを心配していました。つまり、ヘッドを返すがためにヘッド・ウェイトがスタンディング・フットから外れてしまうことがあるからです。ボビーがよく言っていたのは、



“私は頭を返さない、顔を返しているの!”



このようにして行うプロムナード・ポジションの入り方は、音楽に対しても美しい表現を与えます。

さて、プロムナード・ポジションからの2歩目は、男性は左足を、女性は右足を横にステップしますが、重要なことは、2歩目にかけてスウェイを使わない事です。第4章で述べていますが、1歩目のロアーの間に静的エネルギーが蓄えられますから、その間にスウェイを使おうとすると、既にボディ・ウェイトの一部が1歩目を通過しつつあるため、エネルギーを最大に使うことができなくなるからです。この1歩目のロアーでは、男性は女性の方へ自分のセンターを回転させます。それは、見えないほど極僅かですが、それにより、女性は次のステップに自由に出て行けるようになります。男性は、プロムナード・ポジションからの右足では特別な注意を払わなくてはなりません。その右足に体重が移行した後、左足が右足の所に来る前に、右ヒップが右足の上に来ていなくてはなりません。複雑に聞こえるかも知れませんが、実際は、簡単なことです。

練習の時などでは、その場でプロムナードになることがありますが、実際に踊っている時には、前の回転から続けてプロムナードに入ります。右回転をする中で、骨盤の回転をボディの回転より早く終わらせると、パートナーの骨盤との形がV字に開きます。その良い例がオープン・インピタスやターニング・ロック・トゥ・Rです。

左回転の場合は反対に、ボディの回転が終わっても骨盤の回転は続きます。例えば、アウトサイド・チェンジからプロムナード・ポジションになるとき、あるいは、オープン・テレマークです。



(第65話おわり)