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コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#01

第26話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#01

2019/11/6

「The Irvine Legacy」 by Oliver Wessel-Therhorn



「ビル&ボビーのダンス・テクニック」
オリバー・ヴェッセル・テルホーン著/神元 誠・久子訳



これまでにも、月刊誌ダンスファンや個人のブログなどで一部公開していますが、書籍が絶版となった今、「おどりびより」との新企画で全文公開することにしました。一人でも多くの熱心なダンサーに読んで頂ければ幸いです。

今回は本書の全容を理解して頂けるよう、
●プロローグ(私のお喋り)
●翻訳にあたって
●目次
を紹介します。



プロローグ/出会いから出版まで


2010年1月。UK選手権会場でスタジオひまわり発行の隔月誌「ダンスウイング」の読者を増やそうと、スタンドを構えました。目の前にはDSIの大きなショップがあり、そこで見つけたオリバーさんの著書 ”The Irvine Legacy by Oliver Wessel-Therhorn” を購入し、人が来ないときに読んでいました。

ダンスウイングのスタンドは小さいですが、いろいろな人が顔を出して下さいます。そしてこのように、みなさん気持ちよく写真におさまってくれるのです。右の恰幅の良い人はDSIの社長、ジェラルドさんで左はオリバーさん。





私はオリバーさんのことを、DVDのレクチャーなどを通じて一方的に親しくなってはいましたが、実際にお話したのはこれが初めて。とても光栄でした!

なのに The Irvine Legacy にサインを頂いていません。どうしてだったか全然思い出せません…。



翻訳にあたって(書籍より)


原書「アービン・レガシー」に出会ったとき、できるだけ多くの日本のダンサーに読んでいただきたいと思い、出版元である英国のDSI社から版権を入手することにしました。その話し合いを東京で行い、合意に至ったのが2010年11月12日。奇しくもその日は、時差を挟んだヨーロッパでオリバー氏が他界された日となりました。

不思議な縁を感じながらスタートしたダンスファン誌での半年にわたる連載でしたが、毎回寄せられる読者からの確かな反応に支えられ、懸命に翻訳をしました。そしてここに、完訳本となったのはこの上ない喜びです。

この本の翻訳をお引き受けした時、この素晴らしい内容をダンス教師だけではなく、できる限り幅広いレベルの多くのダンス愛好家にも読んでいただきたいと思い、一部文中に「訳者のノート」を、また、巻末には補足説明を入れることにしました。それが筆者オリバー氏の意に反していないことを心より願っています。

翻訳にあたり、第1章、3章、4章の解剖学に関する所では、そうした学問の門外漢である私たちは、購入した体の構造に関する何冊かの本と複数の辞書と格闘しながらの翻訳を強いられましたが、幸いにして、長野県の馬場清充氏(軽井沢町で馬場診療所経営)が救いの手を差し延べてくださり、私たちの翻訳をより的確な表現にしてくださいました。

ダンスに関わる文章で疑問を抱いた所は、英国の原書出版元DSI社に勤務しダンスもされているホーリーさん(Ms. Holly Woodcott)に意見を求めました。また、英語の一般的な個所で不安を感じたときは、ためらうことなく友人のジェフさん(Mr. Geoff Gillespie)に教えを乞いました。また、副編集長の山内一弘氏がダンスファン誌の連載を提案してくださり、書籍でも、様々な方面で的確なアドバイスをして下さいました。この方々のご協力をなくして自信を持ってこの本をお届けすることはできませんでした。この場をお借りして心よりお礼申し上げます。

最後になりますが、この素晴らしい本を私たちに遺してくださったオリバー氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
平成23年10月 神元誠・久子



目次


2 序文

はじめに

12 第1章 まっすぐ立ちましょう


・正しいポスチャーの作り方
・骨盤・胸椎・頸椎
・ヘッドの正しい位置
・最適なボディ・ポジション
・女性のバランス


22 「まっすぐ立ちましょう」を更に詳しく


・脊椎の機能
・脊椎の機能的な意義
・体内エレベーター
・バランスの探し方


36 第2章 ホールドしてみましょう


・足の距離
・ホールド
・二つの楕円形
・ダイヤモンド


46 第3章 君の足は大丈夫?


・歩き方を学ぶ
・ライズ・アンド・フォールときの足の順序
・ヒール・プルの方法


53 「君の足は大丈夫?」を更に詳しく


・足関節の構造
・足関節の動きの軸
・足の底屈と背屈
・ボディ・ウェイトの流れ


62 第4章 継続的な上下運動


・ライズ(スイング・ライズ/プレッシャー・ライズ/ボディ・ライズ)


72 「継続的な上下運動」を更に詳しく


74 第5章 回って、回って


・ナチュラル・ターンの仕方
・リバース・ターンの仕方
・ポインティング・ステップ
・オープン・ターンについて
・ナチュラル・ピボットについて
・アウトサイド・パートナーとCBM
・頭の下で回転する


82 第6章 スウェイしよう!


・スウェイの定義
・スウェイの種類


88 第7章 プロムナードとフォーラウェイ


・プロムナード・ポジションの作り方
・フォーラウェイ


96 第8章  踊りのヒント


ワルツのヒント
・プレッシャー・ライズとスイング・ライズ
・ペンジュラム・スイング
・シャッセ・フロム・プロムナード・ポジション
・フォックストロットからの応用
・アウトサイド・スピンの秘訣
・フォーラウェイ・リバース&スリップ・ピボットの秘訣


101 フォックストロットのヒント


・タイミングについて
・コモン・フォールト


108 ヴィニーズ・ワルツのヒント


・後退の仕方
・前進の仕方
・リバース・ターンの注意
・フレッカール
・音楽について


110 クイックステップのヒント


1.スイングとスウェイ
2.バウンス・ムーブメント


・ステップ・ホップ
・スキャター・シャッセ
・ペパーポット


3.トリッキーなステップ


114 第9章 メイド・イン・アルゼンチン


・基本の形
・ウォークについて
・突然止まる
・シャープなPP
・プログレッシブ・リンク
・リバース・ターンの足
・スピードの変化のつけ方


128 第10章 リードとコミュニケーション


・前進・後退のリード
・アウトサイドへのリード
・スパニッシュ・ドラッグ
・チェックト・ナチュラル・ピボット


136 第11章 ボビーの金言:女性の役割


・自分の足に立つ
・女性のためのゴールデン・ルール


144 第12章 ダンスの歴史を少々


146 ワルツの歴史


・イングリッシュ・スタイルの始まり
・ビル&ボビーが創り出したフィガー


156 フォックストロットの歴史


・エクステンディド・リバース・ウェイブ


162 クイックステップの歴史


166 タンゴの歴史


170 第13章 ビル&ボビー・アービン伝記を少しだけ


・ウィリアム(愛称ビル)について
・ボビーについて


182 第14章 著者について


186 謝辞


190 書評


195 写真クレジット


196 補足説明


206 索引


214 翻訳にあたって/訳者略歴


(第26話おわり)