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コラム「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#03

第28話「ビル&ボビー・アービンのダンス・テクニック」#03

2019/11/20

はじめに


さて、私が本書で取り組んでいる事は、歴代の中でも最も魅力的なボールルーム・チャンピオンだったビル&ボビー・アービンMBEのレッスンにおける彼らの哲学と教え方を文字として残すことです。

それがとてつもなく大変な仕事だという事も、その責任の大きさにも気づいていますが、同時に、レッスンに使われた二人のアイディアなどをすべて書き出すことができるなら、どんなに素晴らしいことだろうとも思っています。ともあれ、この本は桁違いに偉大な二人の人間と私との個人的な経験を書いたものです。お二人は私の長いダンス人生の中で私の唯一の先生でした。おかげで、いろんな先生からいろんな違った情報を受け取って頭が混乱するという目に会わなかったことを考えると、私は幸運に恵まれていたと思います。

この本を書くにあたり、DVDに残された彼らのレクチャーを見て自分の記憶をリフレッシュしたり、世界中で行なわれた膨大な数のレクチャーのメモなどで勉強したりしましたが、だからと言って、私の記憶が完全だとか、書き出した情報が完璧だとか言うつもりはありません。親愛なる読者の皆さん、ですから、もし大きな間違いを見つけられたり、ビル&ボビーの全体像に追記が必要と思われたりした時には、どうぞお気軽にご連絡ください。もし改訂版が出るような時があれば、喜んで変更・追加をさせて頂きますので。

ここでラファエル・グルニンガー氏の表現を引用するのが適切と思うのですが、この本は新しい解剖学の百科事典などではありません! 氏は、「ここに書かれた事は、ビルが教えるときに使ったちょっとしたバイオメカニクス的な説明に過ぎません。彼は解剖学を学んでいたために、それをレッスンに使うことができたのでしょう」とコメントしています。

確かに、バイオメカニクス的な説明は彼の教授法の一部でした。ある動きをどのようにしたら良いかを生徒に話し、なぜそれが解剖学的に正しい唯一の方法なのかを易しく説明していました。そういうことで、医学を勉強されている人がいましたら、ここに書かれているのは素人向けの大雑把な説明ですので、ご了承ください。

ビルの哲学を理解するために知っておかなければならない事があります ― 人体が機能する理論に基づいて、可能な限り効率的に踊ること ― これがビルにとって重要な事でした。もちろん、そうすることで筋肉を最大限に緩めて体を使うことができ、結果、可能な限り完璧な踊りができるようになるのですから、懸命に努力するに値することです。



「三つのコントロール要因があります。


それは、バランス・コントロール、筋肉のコントロール、


そしてタイミングのコントロールです。


その中の一つでもコントロールできなかったなら、


すべてがダメになってしまいます。」



この説明にダンスのすべてが含まれます。よって、これからの章の中では、そうしたコントロールを可能にする方法についてお話していくことにしましょう。



バランスのコントロール!


筋肉のコントロール!


タイミングのコントロール!



ダンスにおけるあらゆることが、
この3つに含まれています




文中、青文字の部分は、実際にビル&ボビーが話したことを意味しています。

(第28話おわり)