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コラムボディーガード

第35話ボディーガード

2020/10/25


ローマの休日の回でも思ったけど、ほんの一瞬しか出てこなくても、ダンスがその映画や作品の中で強烈なインパクトを残し、ストーリーの中で大きな意味を持つことがあります。ボディガードもその代表例だというお話。



あらすじ


かつて、カーター大統領とレーガン大統領の警護をつとめた経歴を持つ元シークレットサービスでプロのボディガードであるフランク・ファーマー。その彼の元に、ある警護の依頼が舞い込んでくる。華やかな世界に生きるスーパースター、レイチェル・マロンの警護をして欲しいというのだ。レイチェルには多くの脅迫状が送りつけられており、彼女のマネージャーがフランクに警護を依頼したのであった。当初、レイチェルには危機意識が全くなく、フランクを邪魔者扱いしていた。しかし、レイチェルはナイトクラブで押し寄せてきたファンからフランクに助けられたことから、次第に彼に協力していくようになる。やがてフランクとレイチェルの間には恋が芽生えていく。恋に落ちた相手をビジネスとして守ることはできないと、職務との矛盾に悩むフランク。そんな中、レイチェルにはさらに魔の手が迫って──
©Warner Bros. Entertainment Inc.



I Will Always Love You



ボディガードという映画を知らなくても、エンダアアアアアア〜、アイルオールウィズラブユーーウウウウウ〜♪というフレーズに聞き覚えのある人は多いことでしょう。この映画の影響もあって主題歌の” I Will Always Love You”は大ヒット。挿入歌も実にいい。
いやあ、それにしても、今見てもケビン・コスナーかっこいいな!
特に日本では大ヒットして、後にミュージカルにリメイクされた興行がシアターオーブに来日しています。





最初は危機意識が薄く傲慢なスターであるレイチェルは、警備のためとは言え四六時中張り付かれ、生活習慣を変えろというフランクを窮屈に感じて、その指示を守ろうともしないし蛇蝎の如く嫌っています。そんな中でもレイチェルを完璧に守ることで信頼を得て、割とあっという間に恋に落ちます。

え、はや。

と思った人は少なくないはず。でも、これがケビンだと許せるんだなー。だって本当にかっこいいもの!!←超個人的な見解

二人はデートに繰り出すのですが、そこで流れているのが冒頭述べた” I Will Always Love You”の元ネタになった曲なんですね。この主題歌は1974年にドリー・バートンが発表したカントリー曲のカバーなのだそうです。
フランクがレイチェルを連れて行ったのは、大スターが行くには意外な感じの街中のごく普通のバー。そんなセレクトもれチェルには新鮮だったのかも。食事をするスペースと隣接する部屋には、ビリヤード台が置かれて食事の前や合間にプレイルームで時間を過ごすと行った様相なのです。
そこで、二人はかかっている曲に合わせてダンスを踊ります。全然、本格的なものでもなんでもなく、ただ手をとって体を揺らすだけのいわゆるチークダンスですね。
「ダンス上手なのね」
というレイチェルのセリフもお約束で、いいシーンです。ここで二人の関係性が変わり、その夜、体の関係を持ったことでフランクはボディガードとしての自分と恋の狭間で悩みに陥ることになります(だったらするなと言いたくなるが、ケビンなので許す←二度目の超個人的見解)。

ダンスを踊るシーンはこの映画の中ではここだけなんですけどね。でも、ね?とっても重要なシーンでしょう?

それにしても、海外ではレストランやバーで当たり前のように音楽が溢れ、音楽が流れればダンスを楽しむ事も当たり前で、この文化は羨ましい限りですねえ。





結局、フランクとレイチェルは飛行場で別れて結ばれることはありません。どうもこれは、ホイットニーがケビンを嫌いだったからという説が濃厚のようです。映画の大ヒットを受けて、続編の企画も持ち上がっていたのだけれど、ホイットニーの出演拒否で実現しなかったのだとか。ホイットニーはこの映画が初出演で、ケビンの指名で出演が実現したというのに。そのせいでボディガード絡みのグッズはプレミアがついて、映画のグッズの中では垂涎の品だっていうから、皮肉なものです。その後、友人としては交流を交わしていたっていう話もあるので、真偽のほどはわかりませんけどね。ケビンは制作にも関わり、しばしば予算オーバーしてでも制作にこだわるタイプだというから、その辺のところも関係していたのかもしれません。
2012年、ホイットニーは不慮の死を遂げましたが、ケビンは葬儀の席で17分間に及ぶ心のこもった弔辞を贈っています。

実は、その企画は後日、別の主演女優を想定して継続されたのですが、その方の事故死によって実現しませんでした。誰だったと思います?
なんと、イギリスのダイアナ元皇太子妃だそうですよ。ケビン・コスナー自身があるインタビューで明かしています。舞台は香港で、ケビン演じるボディガードが元皇太子妃を警護していくにつれて恋が芽生えていくという内容だったとか。1997年8月31日、ダイアナ元皇太子妃がパリでパパラッチに追いかけられて交通事故で亡くなったことは、ご記憶の方も多いことと思います。そんな経緯で、ついにボディガードの続編が実現することはありませんでした。ダイアナ妃の元に脚本が届いたのは、事故当日であったといいます。

様々なエピソードも含めて、印象的な作品のボディガード。
映画のストーリーで言えば、フランクがボディガードとして再生するという話でもあります。レイチェルとフランクが結ばれなかったのは、恋ではなく任務を取ったという象徴的な終わり方なのかもしれませんね。

でも個人的には、ケビン・コスナーはボディガードやウォーターワールドより、冴えない中年男の悲哀みたいなの演じさせたら天下一品だと思うよ。私はフィールド・オブ・ドリームスが大好きです♪