あらすじ

おなじみ凸凹父娘コンビが活躍する、人気ミステリーの最新版！
鴨志田が“カモさんダンス”ならぬ、“社交ダンス”のスクールへ!?
しかも、そのダンススクールを舞台に殺人事件が発生！
容疑者が次々と浮かぶ中、鴨志田は、ひとりの男に“何か”を直感して…!?
おなじみ鴨志田＆真実が、事件の哀しい深層に迫る！
（2019年6月16日（日）21：00〜23：05放映）

キャスト

鴨志田新一：伊東四朗
岡崎真実　：羽田美智子
武藤万作　：風間杜夫
川澄睦美　：前田美波里
武井昭一　：正名僕蔵
坂下純次　：小倉久寛
田所久弥　：ラサール石井

画像／©テレビ朝日

あの人気シリーズで社交ダンスが事件の鍵を握る

地上波で社交ダンスが取り上げられると、社交ダンスファンとしてはテンションが上がらずにはいられません。

伊東四朗さん演じる鴨志田新一は、警視庁東王子署の警部補。別れた奥さんとの間の一人娘、羽田美智子さん演じる岡崎真実は、警察庁のエリート刑事です。現場の刑事一筋の鴨さんは、かつて奥さんと娘を放ったらかしにしていたこともあり、シリーズ序盤では、岡崎警視との間に確執を抱えていました。

20話を迎えた現在、一緒に捜査し、鴨さんの刑事としての姿勢を間近で感じるに連れ、鴨さんとのわだかまりは溶けていき、岡崎警視自身も主に頭脳面で鴨さんをアシストしてしていくようになります。その分、警視としては現場に出すぎて、鴨さんからいつも「現場に出るのは一介の刑事の仕事」止められてしまうのもお約束です。

今回は、社交ダンスのお教室が事件の鍵を握る現場。ひょんなことから鴨さんと、上司にあたる坂下課長は社交ダンスのお教室に見学に行きます。
後日、東王子署管内で殺人事件発生。なんと、被害者は、見学に行った社交ダンス教室の生徒でした。事件の真相を解く鍵を握っているのは、かつてそのお教室に通っていた生徒の夫。その生徒自身は亡くなっています。その悲しい過去を持つ夫の心を、刑事としての執念で、またかつて自身も妻を亡くした夫として、徐々に信頼を得ていき…。

事件の真相は実際の放映に譲るとして、何と言っても、シリーズ全般を通して楽しみなのは鴨さんが岡崎警視と共に、事件解決の鍵を握る地方に足を運ぶシーンです。概ねは観光地なことが多く、鴨さんは純然たる聞き込みに邁進するのですが、いつもシリーズでは岡崎警視がどこからともなく現れ、素敵な旅館などに宿泊することになります。

実際の捜査でそんなことはあり得ないでしょうが、そこは、刑事ドラマの醍醐味。

今回は特に、岡崎警視が「お父さん、ありがとう」と親孝行の意図で、鴨さんにその旅をプレゼントするシーンで、長い20作というドラマの時間を感じてほろりと涙を誘います。

主演を演じる伊東四朗さんは、御年82歳！
流石の貫禄で、シリーズの根幹を支えます。

他にもあるぞ、社交ダンスのドラマ！

惜しむらくは社交ダンスが『お金持ちの集まりの場』の舞台装置として使われていたこと。そして、金品のやりとりでパートナーシップを買うようなやりとりが、普通に行われていたことでしょうか。

競技ダンスであるか、そうでないかの如何によらず、そこに集まる方達が社交ダンスに真剣に取り組んでいるがゆえに起きた事件を扱った地上波でのテレビドラマは、実は過去にも放映がありました。

相棒Season12 第4話「別れのダンス」
2013年11月6日（水）21:00〜21:54

こちらも人気刑事ドラマ「相棒」シリーズで社交ダンスが舞台です。



悦子（真飛聖）が出場するボールルームダンス競技会の会場で、大会のスポンサーの社員・茂手木（若林久弥）の他殺体が発見された。悦子の応援に来ていた右京（水谷豊）と享（成宮寛貴）は、偶然第一発見者となり捜査に協力することに…というお話。



社交ダンスのパートナーシップをテーマにした事件で、こちらもいずれ詳しくご紹介しようと思います。このドラマはカップル結成の悲喜こもごもが事件の動機になっており、事件解決についてもパートナー同士の思いやりが鍵になります。社交ダンスという題材に深く切り込んで脚本が描かれ、愛好家にとっては見応えのあるストーリーです。

キャスティングも元宝塚出身の真飛聖さんや、別ジャンルではあるもののプロのダンサーの大澄賢也さん、他にも社交ダンス界からキャスティングがされており、ドラマの世界をしっかりと支えています。

おかしな刑事も、実は小倉久寛さんは社交ダンス経験者で「オールスター　Shall We Dance? 芸能人社交ダンス選手権」で早川良枝先生とカップルを結成し、サンバで優勝を収めているんですよね。社交ダンスご堪能なのに、踊れない役なのはちょっと残念…。

また、他にも過去社交ダンスを放映したドラマとしては、こちら。

Doctor-X 外科医・大門未知子　第9話
2016年12月8日（木）21:00〜21：54

こちらは、長年にわたって「東帝大学病院」のライバル関係にあった「慶林大学病院」が、最新の病院ランキングで１位を獲得。その両婦人会の戦いの舞台として、社交ダンスの競技会が開かれる、というお話。



おかしな刑事同様にお金持ちのご婦人たちの戦いの場として社交ダンスが使われているものの、元々Doctor-Xに草刈民代さんがキャスティングされていることもあり、20年ぶりに社交ダンスを披露するということで大変な話題になりました。また、その相手役は映画Shall we ダンス？（邦画）でも草刈民代さんのリーダー役であった田中英和先生（第１回当コラム参照）。ライバル役の中山忍さんのお相手を務めたのは、JBDF元グランドファイナリストの本池淳先生です。番組のダンス監修も勤められ、否が応でも社交ダンス関係者の話題は高まりました。

社交ダンスファンは、ホールドを見ればその方のダンスの素養はわかってしまうもの。キャストの中にプロフェッショナルなダンサーがいると、ドラマがピリッと引き締まりますね。おかしな刑事にも、知っている先生が登場してほしかったなーとは思います。

とは言え、こうして地上波で社交ダンスが取り上げられた貴重な機会。しかも、人気シリーズの２０作目という記念すべき回に放映されたのは、嬉しいこと。しかも、偶然なのか、どうなのか、今回取り上げたテレビドラマは全てテレビ朝日でした。社交ダンスお好きな方が、いらっしゃるのかも？