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コラムボールルームへようこそ10巻

第26話ボールルームへようこそ10巻

2020/01/25

社交ダンス愛好家がみんな待ち焦がれていました!
ボールルームへようこそ最新10巻、満を辞して発売で〜す。

あらすじ





「優勝できなきゃカップル解散」を条件に、都民大会A級戦の舞台を迎えた多々良と千夏。準決勝、二人だけのダンスの“気配”を掴み、勢いを増す多々良ペア!
そんな多々良に影響され、釘宮の脳裏にかつての恩師との記憶、そしてダンスへの想いがよぎる──
そして迎えた決勝戦、千夏という「目の前の世界」を通じて改めて自分自身のことに気づかされた多々良は、千夏との踊りにこれまでにない“一体感”を覚え始め――!?
【伝統】の釘宮組VS.【進化】の富士田組、大激戦の都民大会編クライマックスを収録!!
©講談社

満を辞しての続刊!


竹内友先生の体調不良などにより、長らく休載が続いた「ボールルームへようこそ」。2年半ぶりに待望の最新刊が発売されました。
9巻までで多々良と千夏のパートナーシップはバチバチのバトルを繰り広げ、ついに都民大会前に「優勝できなければカップル解消」と千夏に言い渡されてしまいます(本心なのか?)。
ボールルームへようこそは、男女のペアダンスをテーマにしている割に恋愛要素がほぼなく、アスリートとしてのパートナーシップを主眼にこれまでのところ話が進んでいます。ペアダンスだからこそ、このパートナーシップというのは曲者です。うまくいっている時はいいのですが、うまくいかない時、自分の責任でではなければ責任は相手に求めるしかありません。多かれ少なかれ、みんな一度は通る道だと思います。

多々良と千夏の関係はまさにこの正念場を迎えていて、「大丈夫なの、この2人……」というところで大会当日を迎えてしまいます。ところが、この都民大会で多々良は驚くような進化を見せます。

多々良の最大のコンプレックスは「自分がライバルたちに比べて競技歴が浅いこと」。もっと早く始めていればよかったと嘆く多々良に、雫は
「ダンスは長さじゃない」
「1年しかやっていない人が10年やっている人を超えることがある」
と諭します。多々良の進化を目の当たりにした雫が、自分の発言に客席で身震いする一幕も。

一方で、千夏のコンプレックスは「フォロー経験が浅い」こと。
ジュニア出身で、これまでリーダーがなかなか見つからず、千夏は女子同士のカップルでずっと「リーダー役」を務めてきました。ジュニア選手(ジュニア選手に限らず)の男女比はどうしても女性の方に多く偏るので、事実、これは日本の競技ダンスにおける選手育成の大きな課題でもあります。御多分に洩れず、千夏は男性のリードに身を任せることができません。竹内先生って、ちょいちょいこういうシビアなネタを入れ込んでいるのがすごい……。



伝統VS進化


そんな2人の進化に触発され、ライバルの釘宮さんの過去も具に明かされます。これはアニメで釘宮さんの当番回になるところですね。
※釘宮先生の恩師のモデルは篠田忠先生と見た(笑)!

多々良と釘宮さんは対照的なカップルとして描かれていて、漫画の中では伝統VS進化と言われていますし、一昔前だったらイングリッシュスタイルVSイタリアンスタイルなどとも言われてきました。
社交ダンスは伝統的に受け継がれてきたベーシックなムーブメント、ベーシックな技術の上に成り立っているものです。けれど、必ずそれを土台に新しい踏風を作ろうとする動きがダンスの革新を導いてきました。
昨今ではWDSF系 VS WDC系などとも言われているように思います。

多々良と千夏のダンスが進化している様子は、「足が4本になる」「足がなくなる」感覚に例えられています。2人で踊っているからこそ、相手を利用して一体になるペアダンスの感動が、圧倒的な画力を持って描かれます。
また、舞踏会の会場のドアが次々と開いていくようなイメージカットも印象的です。スタンダードのお互いが円を描くヴィニーズワルツなどの種目では、外回りと内回りが交互に入れ替わり、どちらかが道を開けたところに相手が侵入することが繰り返されていきます。
ダンスのテクニックを細かく理解しているからこその描写に、漫画を読んでいるだけで踊っているような臨場感とワクワクが止まりません。
さて都民大会の行方はどうなる!?



ボールルームへようこその影響



ボールルームへようこそについては、これまでも本コラムの中で取り上げています。特に、本作を見て社交ダンスを新たに始めた方々のインタビュー記事を、ぜひご覧いただきたいです。

>>インタビューその1
>>インタビューその2

ちなみにお二人とも、コラム掲載現在、社交ダンスを続けており、新たな目標や楽しみに向かってますます社交ダンスをエンジョイしています。こういった経験談が、ボールルームへようこその続刊をきっかけに新たに社交ダンスに興味を持った方、これまで一歩を踏み出せなかった方の背中を押してくれるのではないでしょうか。
こんな影響の大きいボールルームへようこそ、今後も竹内先生にはお体ご自愛いただき、マイペースに連載を続けていただけたらと思います。