2019/10/5
2004年4月から日本テレビ系列局で放映されたストリートダンスを専門に特集していた深夜番組。当時、ストリートダンスを取り扱う番組としては唯一の地上波全国ネット番組だった。MCを勤めたのは、4人体制で活動していた旧メンバーのDA PUMP。ちなみに、2007年以降メンバーを随時入れ替え、現在、2018年に29枚目のシングルU・S・Aで再ブレイクしたのはみなさんご承知のとおりである。
有名な実力派ダンサーたちが多数出演し、ストリートダンスを知らない層への普及へ多大な貢献をした。
2004年4月放送開始当初は、筧利夫とDA PUMPのメンバーが様々な物事にチャレンジするという内容の体験リポート番組だった。同年8月ごろに筧がストリートダンスに挑戦する企画がスタートしてからは次第にダンスに偏重した内容になっていき、そして同年10月以降は完全にダンス専門番組として放送されるようになった。
番組終了後、同枠では替わって筧が司会を務めるクイズ番組がスタートした。しかし、その後も視聴者たちからの番組復活を望む声は多く、中京テレビ主催のイベントでは少年チャンプルの名を冠したストリートダンスライブが行われていた。これを受けて、番組は2006年10月に『スーパーチャンプル』と題して復活し、前進の少年チャンプル同様、日本テレビ系全国ネットで放送された。
ダンス情報サイトとはいえ、社交ダンスを中心とする「おどりびより」で、なんで最初に紹介するテレビ番組が少年チャンプルなんだ。芸能人社交ダンスや金スマじゃないんだ!?という声が聞こえてきそうです。ごめんなさい。まあ、そう言いなさんなって(笑)。
きっかけはこちらのニュース。同番組にも出演していたSAMさんが2019年9月28日付のニュースで、能楽師としてデビューしたというのです。
ご先祖に高名な能楽師がいるということで興味を持ち、2019年3月ごろに本格的に能楽師・佐野登に弟子入りして稽古を重ね、舞囃子「鞍馬天狗」を披露。長い伝統芸能の歴史の中で、ダンサーが出演したのは史上初だそうです。
このニュースを聞いたときに思ったのが、「ああ、あの少年チャンプルに出演していたレジェンド級ダンサーが、まだまだ新しいことにチャレンジしているのか」という感慨でした。
ストリートダンスと社交ダンスは、実はそう遠い関係でもありません。ストリートダンスが社交ダンスに与えた影響は大きかったと言われています。
近年では、社交ダンス同様オリンピック種目入りを目指し、2018年のユースオリンピックではブレイクダンスがすでに競技として実施されています。2024年にパリで行われるオリンピックに競技として採用されるかどうか、検討に入っているという状況です。
ストリートダンスの起源は1920年代のアメリカまで遡ります。黒人文化から生まれ、差別や社会への反抗心や反骨精神を孕んで発展していきました。その過程で、社交ダンスに影響を与えたチャールストンなどのジャンルも派生していきます。1970年代〜1980年代にSOUL TRAINなどのテレビ番組やフラッシュダンスなどの映画を経て、日本に入っていきました。
そもそも社会への反抗という側面を持ったストリートダンスでしたが、日本では都市部の流行に敏感な若者たちに初めから「カッコいいもの」「憧れ」として受け入れられ、メジャーなミュージックシーンに影響を与えていきます。
1980年代には件のTRFメンバーSAMさんが原宿の歩行者天国で活動を始め、様々なアーティストがストリートダンスを取り入れます。天才たけしが出るテレビの「ダンス甲子園」などの企画も普及に一役買いました。
この流れを一番大きく受け継いでいるEXILEにも繋がり、現在のミュージックシーンを語る上でもこの頃の活動が基礎になっていると言えるわけです。
少年チャンプルは、この頃から活動してきたダンサーたちが、どのように新しいダンスを学び、どう自分のものにしてきたかを語る、ダンサーにとっては教材のような番組という側面も持っていたのです。
坂見誠二さんというダンサーをご存知でしょうか?
少年チャンプルの出演のみならず、番組全体を監修していた方。(年齢のことを言うのは野暮ですが)還暦を超えた今でも「生涯現役」を掲げてガンガンに踊っています。検索すれば動画が出てくるので、ぜひそのムーブを見てください。すんごいよ!
日本においてロッキン、ブガルーなどのジャンルを定着させた第一人者です。少年隊のPLAY ZONEや滝沢歌舞伎も手がけています。
更に登場している有名なダンサーといえばYANAGIさん。DA PUMPの振付をしている方。
私が愛してやまないのはWILD CHERRY。
動画は先に挙げた坂見誠二さんとスーパーチャンプルで踊っているナンバーです。惜しまれつつ、2010年に心筋梗塞で亡くなりました。
この方達がダンスを学んだ初期の頃は、今のように動画を撮影するのも一苦労。ダンス動画を気軽に見ることともできません。VHSですらなく、ベータ版のビデオをテープが擦り切れるまで見たとか、畳がダメになるまで練習して親に怒られただとか、外で夜遅くまで練習して補導されただとか、そんな話は枚挙にいとまがありません。けれど、そんな話をする彼らのなんて楽しそうなことか!
その中で、ダンスを学ぶ上で今にも通じるコツとして強烈に印象に残っていることがいくつかあります。
・ 真似をする事
・ 真似をする中で、その動きに近づけるためには自分の身体をどう操ればいいのか、本質的な部分を考える事
・ 本物を見る事、習う事(彼らの多くはニューヨークなどに渡航しています)
ね?今にも通じるヒントがたくさんあると思いませんか。
当時に比べれば、現在では潤沢な資料を見ることができます。海外の競技会やダンサーの動画も豊富に手に入ります。
社交ダンス界でのレジェンドたちが昨今嘆いているのは、
「確かに今は素晴らしいダンサーたちの動画が手軽に手に入る。けれど、そのステップだけを真似して、本質的なところまで深く真似しようという精神が目減りしてしまった」
ということなのです。
その動きができるようになるためには、本質的にどう身体を使えばいいのかまでを理解すること、そのためにちゃんと自分の脳で汗を掻くこと。
ジャンルを問わず、ダンスを学ぶ上で大切なことがこの番組にはいっぱい!
そして、今大活躍しているアーティストやダンサーの若かりし頃のダンスを、たくさん楽しむことができます。
そんなこと言われたって「今更終わった番組の紹介されたって見ることもできないのにどうすればいいのさ?」と思われたそこの貴方!
現在でもちゃーんとDVDが販売されてます。
完全保存版 2枚組 少年チャンプルダンス祭り in Zepp Tokyo 最強ダンサーコレクション 蔵出しお宝ダンス大放出 [DVD]
買わせるつもりかい!と思った貴方、なんなら我が家にありますので、よろしければご一緒に鑑賞会しませんか?