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コラム「毒をもって毒を制す」

第14話「毒をもって毒を制す」

2019/08/20

練習場で激しいケンカをしているカップルがいると、それまでケンカしていた別のカップルが鎮静化するという謎のあるあるが存在する。教室で、イギリスの練習場で、何度かそれで助かったという記憶がございます。とはいえ僕らも昔はどちらかというと、そうやって悪い意味で周りを鎮静させたこともあるのですが、僕らさえドン引きするようなカップルのケンカは存在しました。

フロアに響き渡るような大声で相方を怒鳴ったり、耳心地悪く汚い言葉を発したり、まるで周りのことを気にせずとにかく空気を乱すケンカ。そういう場合は年上の人が速やかに間に入ってあげないと、ケンカしている2人も引っ込みつかないことがある。何なら、そういう先輩が仲裁してくれるのを心の何処かで期待しながらギャーギャー言ったり壁を蹴ったりしている。そんなカップルを用いたレシピを本日はご紹介いたします。先生、どうぞ。

みなさんこんばんは、土丼善晴です。

さて今日はいきなりですが、この鎮静効果のある一品の作り方をご紹介しましょう。用意するものといってもこれは偶発的なものではありますが、選べるならばまぁまぁ面識のないカップルがええでしょう。こちらに10分茹であがった神戸産のカップルをご用意しました。こちらをAとしましょう。先ほど仰ってましたような、よそ様のお手をわずらわせる程のものはアクが強くてあきません。今日は使わないので冷蔵庫にほってください。

次に、Aをさらに中火で5分トロトロ煮込みます。どうでしょう、フロアの端がグツグツ音をたて始めましたね?まだ理性があるうちにフロアの対流を妨げないように、一度フロアから外に出しときましょう。そうこうしていると抑えていた身振り手振りの感情表現が大きくなってきましたねぇ。

ひとまずフロアに残った悪い空気はもう使いませんのでシンクに流しましょう。旬の新鮮なLODを元の場所に500cc注いでおきましょうねぇ。

フロアから出したAはこのあと30分程あら熱が出続けますが、プチケンカ中のみなさまは「あんな風に私達も見えてたのかしら」と、こちらが恥ずかしく思わせられる頃合いで、ゆっくりパートナーさんに苦笑いを向けましょう。きっとパートナーさんも同じ表情でこちらを見るはずです。

さぁここで初めて「共感」という成分が生まれ、「人の不幸は蜜の味」という甘味によって鎮静作用が発揮されるんですねぇ。さぁ出来上がりです。ちょっと踊ってみてください。心なしか気持ちがこそばゆくフワフワしませんか?本日のお献立は、『舞踊の和食』12 月号に掲載されておりますのでそちらもご覧ください。土丼善晴でした。



先生お忙しい中ありがとうございました。さてここまでお話しましたが、よそ様のイベントに鉢合うことは常にあるものではありません。あくまで自分達のことは自分達で管理していただきますよう心がけをお願いいたします。それでは良い週末を。

俺パー的教訓其の十四

喧嘩は伝染しないけど
ダンスの情熱は伝染する
不安をファンに変えて
ガンガン突き進め