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コラム「笑って組め」

第5話「笑って組め」

2018/12/11

笑う門には福来たるってなもんで、 明るくニコニコしてりゃあ幸せが転がり込んで来ると言いますが、ちぇっ、うちらはそんなこと言ってらんねぇやい、というあなた。2017年は変革の年にしましょう。

とある練習場。夜8時を過ぎると仕事終わりのいろんなカップルが流れ込んで来ます。笑うどころか絶えず喧嘩をしているカップルはもうね、お互い練習はしなきゃっていう使命感だけでどうにかこうにかつながっているもんだから、踊り始めるまでが長いんだ。

「よう熊さん、今日も元気だね!」
「なんだい八兵衛、やけに威勢がいいじゃねえか。おめえんとこの母ちゃん、向こうで怖い顔でシャドーしてるけど一緒にやらないんかい?」
「いいんだほっとけ。」
「おいおい、仏の顔も三度までだぜ?」

これじゃあ友達とのお喋りのために来ているようなもんだ。病院の待合室と同じだね。「ねぇ、法子さん最近見ないけどどうしたのかしら。どこか悪いのかしらね」。何しに来る場だか忘れちまっているんだ。

さて八兵衛、30 分後にようやく重い腰を上げ2人して仏頂面で踊り始めて、40分後にはもう喧嘩が始まってる。それから小一時間フロアの隅っこで喧々諤々しいの、「やっぱりお前とは合わねぇな」なんて帰るんだから上手になるはずもねぇ。しかし不思議なことに翌日また同じところから始まる。

さて皆さん。笑顔でいることはダンスにおいて周りへのアピールだけでなく、踊る相手に警戒心を持たせないというチカラがございます。笑顔そのものの一般的な効能を織り交ぜながらお話しいたしますと、まず『ミラー効果』と言いまして、誰かが笑うとそれが周りに波及して場全体が明るくなるということがあります。

そこでまず自分のパートナーに笑顔を向けましょう。相手も笑顔になってくれるはずです。パートナーとの付き合いが長くなるほど、たいてい、何かをしてあげようという気持ちはどんどん薄くなります。心当たりありますよね。ここで一度、気持ち悪いと言われても満面の笑みで左手を上げてください。必ず踊りやすくなります。



頬骨の下のあたりには脳をリラックスさせるツボがあり、表情筋を動かすことで脳波がおだやかなα波になるんです。リラックスが身体にもたらす効果はなんとなく想像できますね。可動範囲が大きくなり練習ははかどるでしょう。

また、笑顔になるためには、目の周りにある眼輪筋や、頬の大頬骨筋を動かし、目尻を下げ、口角を上げる必要があります。筋トレ好きなあなたは顔の筋トレだと思ってトライしてください。

普段使わない筋肉は競技会でも動いてくれません。仏頂面で練習しているカップルはやはり競技会でもそれ以上の表情はできません。同じレベルの笑顔のカップルがいればジャッジは間違いなくそちらに点を入れるはずです。

良い練習をしようと本気で思うのならば、腹がたっても踊りにくくても笑顔。相手が笑ってくれるまで笑顔! 今までのトピックの中で一番難しいかなぁ……。

俺パー的教訓其の五

楽しいから笑うのではなく、
笑うから楽しいのだ