おどりびよりロゴ

 

コラム「悪いのはホールドじゃない。ポジションだ。」

第4話

2018/11/4

「悪いのはホールドじゃない。ポジションだ。」

第4話「悪いのはホールドじゃない。ポジションだ。」

2018/11/4

淳さん左手低い!
淳さん右手キツイ!
淳さん上腕二頭筋太くて持ちにくいから減らして!
淳さん早く寝なさい!

ホールドを注意されない男がはたしてこの世にいるのだろうか。
ある日世界チャンピオンのアルナスがパートナーにホールドの注意をされているところを見て驚愕しました。僕らに至ってはですね、例によって
「いやお前の握り方がおかしいだろ」
などと返答したってね、聞いちゃぁくれないのです。大統領が変わったってリンゴにペンが刺さったって、悪いのはいつだって男なの。
第一話を参考に、このような場合はコーチャーに見てもらいましょう。

先生。今日はフレーム(ホールド)を直したいんです。
法子がブーブー言って止まらないのです。絶対法子が・・・。
よしまぁ踊ってみなさい。
はいではワルツでお願いします。
ムーンリバー♪チャーララララー♪
なるほど。
本池君、君は女性をどこに置いてる?

はて?

困惑の二人。
スタンダードでは一般的に男女が共にボディーの右側にコンタクトを持っているのは言うまでもありません。しかし、それぞれが棒立ちで向かい合うのと、左にシェイプを作ったり、おへそを右に向けたりしながら向かい合うのでは、互いの上半身の距離や角度は大きく違ってきます。いくらホールドをいつもと同じように作ったって、ボディーシェイプやポジションがどちらか一人でも崩れいてはかみ合わないのです。

今回の指摘は、上半身にはコネクションがあるが、下半身にそれがなくなってるよという点を突いたものでした。上半身の接点からしなる女性と、下半身を含む広い接面からしなる女性では当然シェイプの大きさは変わってくるものです。良かったときのホールドの広さのまま、ボディーシェイプの半減した法子と組むと、僕の右手と法子の背中には隙間ができるのです。シェイプが小さいということは女性が自分の中心に入ってきてしまうわけで、すると同時に女性の右手は、より右へとセットされてしまい、男性の左手は女性によってより左に引っ張られてしまうのです。
わかりにくいでしょ。図解をご覧ください。


というわけで、この日は僕の右腰が若干後ろに引けている(腰が上半身と一緒に右回転を起こしている)ということが判明し、それを正面に戻しただけで法子は水を得た魚のように左へカーブできて、結果ホールドのズレが戻ったとさ。法子はここでお得意のニンマリ顔である。

ちなみに崩れないホールドというのは決してガチガチに筋力で固めたモノではありんせん。身体の動きに沿って一緒にひじや肩、手首の関節が動くのです。動くから崩れないという理論は蕎麦屋の出前と一緒です。自転車に乗った蕎麦屋さんは、自転車の傾きや揺れに合わせて手に乗せた幾重にも重なる蕎麦の器を調整し落とさないようにしますね。自分が動くことで目的のものを静かにできるのです。わかる方はそういうイメージで女性と組んでみてください。目の前にいるのは蕎麦なのだ、と思って踊るということではありませんよ。
うん、そもそも蕎麦屋のこの光景を見たことある人がいるのだろうか。

俺パー的教訓其の四

ホールドがおかしいと感じたら
身体(ボディー)に着目せよ