おどりびよりロゴ

 

コラム「それは優しさ?」

第12話「それは優しさ?」

2019/06/20

君を尊重したいから
僕は自信がないから
怒られたくないから
わけはどうあれ
一切合切をパートナーの言う通りにする人がいる
君のためと言いながら
優しい人のフリをして
自分の仕事を放棄する
もちろん
相手を尊重することも
己の未熟を知ることも
どっちも大事
言うこと聞かないからといって怒り出すのは当然アウト

わかるよ、わかりますとも。もう、こんなに喧嘩しなきゃ踊れないんだったら、事なかれ主義になってみようと思って、文句も言わず、何か言われれば無言で頷く。楽しくないけど少なくとも踊り続けられるし、きっと死んだ魚の目をしながら踊っていたんだろうと思うけど、結局ろくなことにならない。例えばこう。

ちょっと淳さんやる気あるの?
プチっ(何かが切れる音)
全てお前の言う通りにやっている
カラダもお前に合わせてる
1つも文句を言っていない
寧ろお前の文句に耐えている
自分のやりたいことやってもダメ
お前の言う通りにやってもダメ
オ、オレは、俺はもう何もできない!
悲劇のヒロイン症候群
光の射さない方へ
射さない方へと下り坂
過去に戻って教えてあげたい
嗚呼、若き青年
汝の欲すること
彼女の欲することを受け入ること
それは二つ同時に成すべき也

難しいですね。自分のしたいと思ってることが相手のしたいことと合致しないなんてよくある。でもボールルームダンスはそれらを合致させていくことをひとつの目的としています。こうなりたい!という理想に対して分業体制取ることを最初から考えたほうが良いのです。

大掃除をするなら2人でお風呂にギュウギュウ詰めになるより、1人はお風呂場、1人はベランダにいた方が良いのです。封筒内職するのなら1人は折って、1人は貼ってとした方が良いのです。俺が落とし穴を仕掛けるから大タル爆弾置いてくれ、ということです。2人でひとつの仕事をするというのは同じ作業をすることではないということです。



レッスンでよく言われましたが、自分の仕事を正確に為せばそれが相手の為になる。相手が踊りやすいように踊れば結果自分がカッコよく見える。しかし、じゃあ結局自分のこと「だけ」やっていれば、相手のこと「だけ」考えていれば、いいダンスになるじゃん。という発想に行ってしまってはダメなの。自分は自分の仕事を精一杯こなし、相手も同じ気持ちでいることが最短で目標に達する道です。しかしそれを相手に求める前に自分が本当に精一杯やり切っているか、何度も自問自答してください。

やぁ、今回も難しいですねぇ。

俺パー的教訓其の十二

共同作業は
   あざなえる
      縄のごとし