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ニュースJCFオンライン競技会<レポート>

競技会 2020/07/1

JCFオンライン競技会<レポート>

2020年5月25日、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が終結しましたが、従来の社交ダンス競技会開催再開に向けては関係団体や関係者各位が努力を続けている状況です。

そんな中、新しい開催形式を模索する動きも生まれています。いち早くJCFが取り組んだのは、動画を利用したオンライン競技会の開催です。こちらは、競技者が規定時間踊った動画を送り、通常の競技会のように審査した後に各予選通過者や順位がホームページ上で発表されるという方式です。

本競技会開催について、実行委員のお一人である清水寿恵先生にお話をお聞きしました。

Q.オンラインで競技会を実施するアイデアは散見されていたものの、JCFの実行の迅速さに驚いた方々も多かったと思います。大会が設立された経緯や主旨を教えてください。

A.大会の企画を立ち上げようという話が出たのは、新型コロナウイルス防止対策のための緊急事態宣言が発表された時期でした。社交ダンス界全体がパーティーや競技会、イベントの自粛で落ち込んでいる空気をJCFの運営メンバーもひしひしと感じていましたね。特に競技選手や見に来てくださるお客様の心境を思うと、
「みんなが元気になるために何かやらなきゃいけないね」
という話になっていたのです。
ちょうどJCF運営メンバーでオンラインで打ち合わせをしていた時に、やっぱり、今こそどうにかして競技会をやらなければいけないんじゃないかという話になりました。選手が目標を見失ってしまいますし、日々一人で練習することができていたとしても、次の目標が見えない中ではみんな苦しい思いをしているだろうと……。
開催方式については無観客などいくつかの選択肢が考えられましたが、当時はもう外出自粛の真っ只中で、競技会の会場に来ること自体が困難だろうと考えました。その状況下で出来ることとしてオンラインで動画審査を行う方向性になり、すぐに開催のお知らせを出しました。
また、絶対にやろうとみんなの意見が一致したのが「ソロ部門」の設立です。プロやご夫婦のアマチュア選手なら参加できても、お一人の方が参加できないというようなことにはしたくなかったのです。
意思決定から素早く実行まで出来るのは、フットワークの軽いJCFという組織の強みだと思います。

Q.オンラインならではのメリットや、見えてきた課題などはありましたか?

A.開催を決めてすぐに開催告知を出したようなスピード感なので、初めてのスタイルに手探りしながら考える部分も少なくありませんでした。
一番の課題は、通常の競技会よりも審査に時間がかかることでしょうか。蓋を開けてみれば、アマオープンボールルームでは44名という予想を超える参加者が集まりました。普段は一つのフロアで大勢の選手をジャッジが規定時間内に見るという審査方法ですが、動画は戻したり、繰り返し見たり、特定の選手同士を比べてみたり、じっくり見られる分、余計に悩みが深かったのではないかと察せられます。その分、個々の選手のクオリティに注目できるというメリットがあったかもしれません。
今回は1種目だったのでまだいいのですが、4種目総合になればジャッジの悩みはますます深まりそうです。これは、今後オンラインで競技会を実施する上での課題だと思います。

Q.各自で提出した映像を見る限り、撮影条件にもついてもバラツキがありましたよね。その点は審査にどう影響したのでしょうか?

A.私はホームページにアップされた準決勝と決勝を拝見した形ですが、フロアで踊った方もいれば、公園などの野外で踊った選手もいますし、本当にバラエティに富んでいて楽しく拝見しました。照明を入れたり、複数台のカメラを使ったり、編集を入れたりして、みなさん本当に良く工夫していました。
今回は特にチャンピオンクラスのジャッジを揃えていますから、どんなに映像が美しくても、きちんとしたテクニックに基づいて踊っているかどうかは一目瞭然であったでしょう。
とはいえ提出する映像の中の自分のダンスを、少しでも美しく見せようという姿勢はとても好ましく映りました。通常の競技会でドレスやメイク、入退場の身仕舞まで少しでも美しく、欠点を補おうとするのと変わらない努力だと思います。ダンスのレベルだけですぐに出場者の差が見えればいいのですけれど、同じようなレベルのダンサー二組の順位に迷ったとしたら、映像の良し悪しが影響する可能性はあると思います。

Q.特に注目した選手はいらっしゃいますか?

A.どの選手も素晴らしかったので、ジャッジの先生方も迷ったことと思います。私としては、何か通常の競技会ではできないような振付や見せ方をしている選手に興味が湧きました。安定して動作するために頭に何かを乗せるビル・アービンの講習があるのですが、それを彷彿とさせる振付を取り入れていたり。トップの美しさを、より強調するような振付をしていたり。ベースのテクニックがしっかりしていることが前提ですが、普段から個性を意識して練習しているんだろうなと印象に残りました。特にソロ部門では、個人のこだわりが色濃く出ていたと思います。
また公園などの野外で踊った選手からは、強いメッセージを感じました。全然ダンスに関係ない通行人やギャラリーがいる中で踊るのは勇気がいることだと思うのですが、コロナで大変な中でもダンスを忘れずに、どこであっても踊りたい!という強い気持ちが表現されていたのではないでしょうか。フロアを選んだ選手たちも、観客がいない中でもエネルギッシュだったり、教室のスタッフがうちわを持って応援していたり、撮影にみんなが協力していたり……本当に選手一人一人の動画に元気をもらいました。

Q.今後、オンライン競技会はまた開催していく予定でしょうか?その際には、どのような展望が考えられますか?

A.当面は、コロナの動向が見えるまではオンラインで開催するのも一つの選択肢だと思います。前述の通り、ある程度のセクション分けが必要など、見えてきた課題を少しずつ修正しながら開催していければと思います。
課題とは言いましたが、セクション分けが必要だと感じられるほど多くの方々が参加してくださったことに胸が熱くなりました。外出自粛が始まって開催までの約1ヶ月、ダンスへの情熱を失わないでいてくださったのが何よりも嬉しいです。
また今回、全てが手探りの中、ボランティアで協力してくださったジャッジや大会役員の方々に感謝申し上げます。前述の通り、どう照準を合わせて審査するかなど、走りながら考える中で大変なことも多かったと思います。自粛ムードが高まり、みんなが落ち込んでいる中でこのようなイベントを開催できたことは、意義のあることでした。
もしかしたら、通常の競技会が開催できるようになったとしても、より多くの方々に見ていただくためのオンラインという開催も今後ありえるのかもしれません。そういった発展性も頭の隅に置きながら、みなさんにより楽しく参加していただけるように邁進していきたいと思います。

決勝進出者の動画はこちらからご覧いただけます!ぜひチェックしてみてください!
▶︎JCF決勝進出者動画まとめ

各部門結果
【プロフェッショナルオープン/ボールルーム】
優 勝 樋口暢哉・柴田早綾香
準優勝 水出光・雨宮可奈
第3位 三上和久・川又千佳
第4位 山本千博・大吉優華
第5位 池本規恒・樫本真実
第6位 横山公法・横山芙美
第7位 小野大輔・中村佳菜
第8位 正藤隆史・正藤智子
第9位 阿野翔太・高橋美樹

【プロフェッショナルオープン/ラテンアメリカン】
優 勝 歩浜敏夫・松浦のぞみ
準優勝 中川真人・まりね
第3位 大坂宜史・佐々木由季子
第4位 加藤義人・小林維斗
第5位 白井鷹征・泉侑希
第6位 吉田隆三・川上陽子
第7位 徳田博憲・徳田円香
第8位 田中航介・成澤夏帆
第9位 木下聡明・山内砂穂

【アマチュアオープン/ボールルーム】
優 勝 藤森春樹・金山咲月
準優勝 岩崎将之・中山絵里加
第3位 孫祖博・西村早織
第4位 中村エドワード・中村エリザベス
第5位 片川開斗・岩本怜乃
第6位 二瓶啓太・吉田千夏
第7位 小林潤一・小林麻衣
第8位 相良悠伍・山口ひかり
第9位 附田優翼・附田奈緒美

【アマチュアオープン/ラテンアメリカン】
優 勝 津田和人・津田微香
準優勝 中村エドワード・中村エリザベス
第3位 高橋海・和田亨華
第4位 大熊和幸・吉田詩子
第5位 遠藤顕広・高橋奈津美
第6位 押切雅易弥・押切萌琉
第7位 高橋爽・佐々木亜美香
第8位 星野浩基・西尾成珠

【プロフェッショナルソロ/ボールルーム】
優 勝 柴田早綾香
準優勝 雨宮可奈
第3位 三上和久
第4位 中村佳菜
第5位 川又千佳
第6位 上村美保
第7位 山本千博

【プロフェッショナルソロ/ラテンアメリカン】
優 勝 歩浜敏夫
準優勝 松浦のぞみ
第3位 槇建太郎
第4位 福本ともえ
第5位 加藤義人
第6位 まりね
第7位 吉田隆三
第8位 中川真人
第9位 徳田博憲

【アマチュアソロ/ボールルーム】
優 勝 岩崎将之
準優勝 二瓶啓太
第3位 小林潤一
第4位 孫祖博
第5位 河内亮磨
第6位 鈴木未来
第7位 小島獅桐
第8位 杉山大悟
第9位 三吉るあ

【アマチュアソロ/ラテンアメリカン】
優 勝 小島獅桐
準優勝 津田微香
第3位 三吉るあ
第4位 柳麻希子
第5位 鈴木未来
第6位 西村拓一
第7位 根本奈菜
第8位 高橋奈保子

JCF(日本プロフェッショナルダンス競技連盟)オンラインダンス競技会
開催期間:2020年5月24日〜6月25日
シラバス:http://www.jcf-tokyo.com/news_pdf/2005/online_syllubus_new.pdf
結果:http://www.jcf-tokyo.com/result.html#jcftobu
(取材/文:賀曽利奈穂)

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