
ドラッグはタンゴで用いられるアクションで、ライト・ランジの後、男性は左足(女性は右足)に体重を移してから元の足を軸足の方に引き寄せます。ドラッグとは「重いものを引っ張る様、足が重くて引きずる様や釣り糸が横に引かれる様」を表す英語で、例えば、女性が男性に寄りかかったまま引きずられる振り付けを見ることがありますが、これも男性側からすると「ドラッグ」している事になります。参考までに、ドラッグストアのドラッグ(薬)の綴りはDrugで、発音も少し異なります。一方、シュラグは英語で「肩をすくめる」という意味です。よく外人が「わかりませーん」と言いながら両肩をすくめる動作をしますが、これがシュラグで、ダンスでは、ドラッグの最中に女性が肩をすくめる動作を言います。つまり、この動作がなければただのドラッグ — と私は考えていますが、ドラッグとシュラグを同一とする考えも見聞きします。「シュラグのリードはあるのか、ないのか」と、長い事気になっていたので、ある時、世界のトップ・ダンサー(英国人女性)にお聞きしたところ、「自分でやるの」と答えてくださいました。このように、シュラグは女性から積極的に働きかける所と理解してよいと思っています。また、ドラッグには明らかな男性のリードがありますから、彼女との会話からも、ドラッグとシュラグは別物と考えてよいことが分かると思います。